公共用地評価の現状と見込み

ここに用地評価業務に関する事項を公開しますのは、不動産鑑定士という仕事を広く社会に認識していただきたい目的でもあります。
不動産鑑定士は、その多くが国や自治体の公共用地評価に関わっています。すなわち、不動産に関する専門職業家として、公正妥当な不動産の価値を指摘するなどの役割りを担っている訳です。
公共事業の恩恵を受けるのは国民であり、そこに関連して従事している不動産鑑定士の業務如何は、国民の幸せや社会経済の発展に影響するものですので、私たちは正当に努力しなければなりません。
私たち不動産鑑定士は、国や自治体等から依頼を受け、必要とする公共事業用地の適正な価格を判定しています。その業務報酬は税金から出ています、そうしたことからも私たちは国民のために努力するのは当然であり、更に一層の精緻化や合理的な業務実施を目的として、ドローン活用を進めているものとご理解ください。

今やドローン鑑定は、非常に広い分野で活用されていますが、業務成果の第一号は公共用地評価でした。
事案としては、道路計画が林間に存する村落墓地に掛かるというもので、土地1筆の一部が墓地となっており、その現況範囲等を示す図面が存在しない状況での鑑定評価依頼でした。
そのような状況で、改めて測量を実施し、時間と費用をかけるよりも、不動産鑑定業務内における現地調査としてドローンを活用すれば、画地認定も評価もできる。ということを用地担当者と認識した次第です。

公共用地評価は、ドローン鑑定会のの会員の殆どが携わっている分野であり、それだけにドローン活用の広がりは比較的は早いものでした。
この分野では、既に仕様書にてドローン活用が条件付けられた鑑定評価業務の発注も始まっていますし、ドローン鑑定を行いうる不動産鑑定業者との特命随意契約も見られるようになっています。
公益社団法人日本不動産鑑定士協会連合会は、「不動産鑑定契約のあり方(受任者選定方式等)に関する基本的見解」において、不動産鑑定士の選定に関して依頼者において考慮されるべき事項として、①専門性、能力、実績等、②地域精通性、③人的信頼性、④生産性向上、イノベーション、ワークライフバランスの提案、等を挙げていますが、特にドローン活用は④の観点に優れており、特命随契の理由として通じているものなのです。

以下は、国土交通省関東地方整備局が、ホームページ(https://www.ktr.mlit.go.jp/dx_icon/iconst_00011.html)で公開している資料のご紹介です。
このように、国も用地評価におけるドローンの活用を進めており、効率向上など、様々な効果があることが示されています。

既にドローン鑑定会は、徳島県用地対策連絡協議会、近畿地区用地対策連絡協議会へドローン研修等を提供しており、用地業務の現場が情報を求めている状況にあることを実感しています。
よって、用地部門におけるドローン活用は進んで行くでしょう。
なお、それは単なるドローン活用というものではなく、精緻化・効率化・業務現場の安全性確保等を視野に入れたDXで一環として位置付けられるものであって、この先は、受発注・納品・情報交換が全てデジタル(ペーパーレス化)で行われ、依頼者・受注者(鑑定・測量・補償コンなど)が、デジタル情報をやりとりするICT環境が整っていくものと思われます。