裁判所業務の現状と見込み

ここに裁判所業務に関する事項を公開しますのは、不動産鑑定士という仕事を広く社会に認識していただきたい目的でもあります。
不動産鑑定士は、少なからず競売評価・中立鑑定・調停委員などで裁判所に関わっています。すなわち、不動産に関する専門職業家として、公正妥当な不動産の価値を指摘するなどの役割りを担っている訳です。
裁判所という司法サービスの恩恵を受けるのは国民であり、そこに関連して従事している不動産鑑定士の業務如何は、国民の幸せや財産に影響するものですので、私たちは正当に努力しなければなりません。
私たち不動産鑑定士は、公務員ではなく、私人として裁判所より命令を受け、業務に従事します。その業務報酬は税金ではなく、申立人等が費用を負担しているものであって、そうしたことからも私たちは国民のために努力するのは当然であり、更に一層の精緻化や事実証明を目的として、ドローン活用を進めているものとご理解ください。

私たちドローン鑑定会は、その3/4(32名)が評価人として従事しています。
これは非常に多い割合であって、裁判所業務を行っているからこそ、ドローン活用に有用性を求めた不動産鑑定士も少なからず居るということです。
さて、そのうち、現在までに民事執行業務でドローン活用の実績があるのは、6地方裁判所です。
すなわち、裁判所でのドローン活用は始まったばかりで、徐々に広まりつつあるという現状です。
ちなみに、同業務におけるドローン活用については、以下の記事により紹介されています。

私たち不動産鑑定士への要請は、時代とともに多様化しており、私たちが対応できることもまた幅広くなっています。
一例を挙げますと、下図の事件は、土地を等価交換するに当たり、土地をどこで分筆すればよいのか?という鑑定命令でした。
従来であれば、不動産鑑定士だけでなく、測量士などの力も借りる必要があっただろう事案ですが、平面直角座標で示された地積測量図とドローンの活用により、等価となるべき分筆線を座標と画像上で示した、という案件です。
このように示すことで、原告・被告の双方に理解されやすく、結果として和解に至るのであれば、私たち不動産鑑定士としてもやりがいがあったと感じる所です。


来年、令和7年に札幌で行われる評価人会の総会では、テーマがドローンとされる予定と聞いています。
北海道では、広い原野など、詳細な立入調査が困難な物件が多いでしょう。また、物件調査に際しては熊などに遭遇する危険性もあり、ドローンは民事執行においても有効かつ安全な調査手段として、活用が増えてゆくのではないかと思われます。